インタビュー対談

「お客様のQOLを考える」

株式会社リアナッツ 代表 渡部 壽也 × ケーワークス 代表 桑原 徹

サラリーマン時代は大手外資系企業で勤務。その後、全くの異業種である自動車内装修理の事業を始められたという桑原氏。立ち上げから13年で延べ2000台以上の施工を手掛けてきた。現在では、遠方から修理の技術を学ぼうとする同業者が数多く訪れるという。桑原氏が語る、「お客様のためになる施工サービス」とは、そして同氏が仕事を行う上で重視している「お客様のQOLを考える」について迫る。

まずはじめに、この事業を立ち上げた経緯を教えてください

桑原)元々は大手外資系企業のマーケティング部門に20年ほど勤務していたのですが、なんか仕事にやりがいを見いだせなくなっていたところ、リストラ募集があり、手を上げて退社しました。特に現在の仕事をやろうと思って退社したわけではないのですが、同時期に退社した先輩から「桑ちゃんは手先が器用だから、こういう仕事いいんじゃない?」と勧められてこの道に入りました。
会社員時代から、人と違うことを行うことが好きで、その為にサービス残業して研究したり調査したり毎晩帰宅は日付が変わるギリギリって感じでした。それでもそのスタイルが楽しかったので、同僚からは「変態」って呼ばれてましたね。その頃培った探究心は現在の仕事に大いに役に立っていますね。

渡部)なるほど、自主的に残業されていたんですね、すべては自己成長のためにということですね。″変態と呼ばれるほどの探求心″。とてもいい響きですね。

ケーワークス桑原徹

同業者と差別化を図っているケーワークスの″強み″は何ですか?

桑原)先述と重複しますが、会社員時代に培われた「探究心」と「発想力」じゃないかと思っています。上手くいく施工の場合はどの業者が行っても大差ないと思いますが、難易度の高い施工依頼や施工時発生した予測不能の事態をクリアする為の「探究心」と「発想力」は強みと言ってよいかなと思います。自分で言うかって話ですけど。。。

渡部)難易度の高い施工とは具体的にどんな依頼ですか?

桑原)ベンツW124に代表される、ビニール素材の天井の貼り直しですね。ウッドカスタムでは、お客様が色だけでなく、木目までご指定頂いた場合です。これは、かなりの木目再現性が必要となります。 

渡部)なるほど、「探究心」と「発想力」が問題解決するための土台となるわけですね。ケーワークスさんのサービスの中で「天井張替え助手割引」というものがあると思いますが、これは他では行っていないサービスかと。この「助手割引」はどんな背景があって始められたのですか?

桑原)別の内装修理のご依頼を頂いた際、お客様から「施工を見ていていいですか?」と言われ、はじめは興味深く見ていたのですが、施工しながら「退屈じゃないかな〜」と私が思い始め、「ちょっと手伝ってみます?」と提案したところ満面の笑みで、「いいんですか!」と作業に参加してくれました。
そのお客様が帰り際「手伝わせてもらえて、一生の思い出になりました!」と言って頂きました。その時にハッと気づきましたね。私にとっては単純な作業も一般のお客様にとっては一生の思い出になり、キズが直った以上の満足を提供できるんだなと。 

渡部)愛車の内装修理を一緒に体験されたいという、車を大切にしているお客様の気持ちに応える施工サービス。なかなかお客様の前で施工を行うということは、お店側からするとやりにくいと感じることもあるのではないかと察しますが、そこをあえてオープンにするところが凄いなと。

ケーワークス桑原徹

桑原)やりにくさは全くないですね。一緒に作業をやることで、お客様が気になった点をその場で話し合い、その場で解決できるメリットがあります。それ以上に一番に考えていることは、作業を単に手伝って頂くのではなく、手伝って楽しかった、手伝って良かったといかにお客様に思って帰っていただけるかという事です。その為にはお客様を暇にさせないこと。私がやれば秒で終わる作業もお客様でもできるレベルの仕事は、時間を使ってでもお客様にやって頂きます。
また、色々な業種のお客様がご来店されるので、お客様のご出身、お仕事内容等をお聞きすると、私の知らない世界を教えて頂き、私の世界観が広がるのも私が助手割引をやる楽しみの一つですね。 

渡部)そうなんですね。お客様にとっては施工をしたという経験が大きいわけですね。

株式会社リアナッツ渡部壽也

仕事をやっていてテンションが上がる瞬間はどんなときですか?

桑原)施工で言えば、施工が完了してお客様に施工箇所を確認して頂く際、お客様から「え〜っと、どこでしたっけ」と言われる瞬間です。また、それよりもテンションが上がるのは、同業者から施工方法の問い合わせを受けるときですかね。ラインで写真がパンパン入って、その後電話がかかってきて、「桑原さん、これどうやって直したらいいですか?」という瞬間です。 

渡部)まさに職人としての腕を評価されたとき、求められたときに体温が上がるわけですね。しかし、施工方法、技術をオープンにして同業者の方にお伝えしていくところが素晴らしいですね。利他の心で溢れていないとなかなか出来ることではないですね。

ケーワークス桑原徹

ケーワークス
施工へのこだわり

お客様のQOLを考える

QOL、聞き慣れない方も多いかと思います。医療とか福祉業界でよく使われる言葉で、「クオリティー・オブ・ライフ」の頭文字をとった言葉です。医師がただ病気を治すだけでなく、その後の患者の生活も考えた治療方法を選択することです。私がこの仕事を進めるに当たって一番頭の中で重要視している言葉です。
お客様より施工のご依頼を頂き、施工し、綺麗に仕上げてお客様にご満足頂く。通常はこれでOKです。 ただ、もう一歩先の世界を目指すことが、自分の成長につながると考えています。具体的には、お客様自身が気づかれていない様なことをこちらから提案し、お客様にさらなるメリットを提供するという事です。
先日これを説明する為に丁度よい案件があったので、以下に紹介致します。

Aさんより「ドアの内張りがめくれてきてしまったので修理して欲しい」とご依頼頂きました。当店で施工できる案件でした。そこで私は「このめくれは、Aさんがこのお車を継続して乗られる上で直したいのですか?」と質問したところ、「いや、1年以内にこの車は売ろうと思っていて、傷を修理して査定を上げたいと思って・・・」とのことでした。そのAさんの事情をわかった上で私からの提案は、「では、今日の施工はやめましょう。査定の1週間前にもう一度ご依頼ください。」というものでした。
結果お客様も私の提案がベストとご判断頂き、その日は何もせずお帰りになられました。当店の売上だけを考えれば、その日施工し施工代金をもらうのがベストですが、その日修理してもお客様がお車を売るまでの1年間の間に事故等に遭遇されないとも限りません。もしそうなった場合、その日の施工は無駄になってしまいます。
このような事が私の目指す「QOL」です。
お金をガツガツ稼ぐより、人との出会いを大切にし、貧乏でも豊かな人生。それが私の生き方です。

最後に今後の展望を教えてください

私が培った技術は、私が死んでしまえばそれで終わってしまいます。
そうなる前に一人でも多くの職人に私の技術を伝えていきたいです。 

ケーワークス桑原徹
インタビューあとがき

今回、このインタビューを始め、ホームページ制作からSEOまで全面的にご協力頂いた株式会社リアナッツ代表の渡部様にこの場を借りて御礼申し上げます。私は開業後、初めてプロにホームページを作ってもらいました。他の制作会社がどのような感じかは知りませんが、渡部代表の仕事に対する情熱を常に感じながら、一緒に作り上げていく感じが私には非常に心地よい時間でした。永いお付き合いになりそうです、これからもよろしくお願い致します。

桑原 徹