今回は神奈川県横浜市のお客様よりご依頼頂きました、古めのポルシェのシート修理を紹介致します。古めのお車の為、革もそこそこ劣化しているので、修理するに当たり少々検討が必要になります。それはさておき、まずは初期状態を御覧ください。

ポルシェシート

背もたれのサイドサポートの下側なんですが、ちょっとわかりにくいかと思いますので、もう少し近づいて見てみましょう。

ポルシェシート

なぜこの様な傷が出来てしまったのかは不明ですが、切れているだけではなくて、亀裂部分の端面が盛り上がっていますね。傷が出来てしまってからかなり時間が経っているためこの様な盛り上がりになっているのだと思います。
また、そこそこ革自体の劣化も進んでいるため、闇雲に熱をかける施工方法は避けたほうが良いかもしれません。劣化した革は油分や水分も少なくなっているため、少しの熱を加えただけで大きく縮んでしまうことがあるんですよね。ということで今回は熱をかけない施工方法を選択することに致しました。
とはいえ、この盛り上がりをそのままにして進めていくことは出来ませんので、まずはオービットサンダーで盛り上がってカピカピになった部分を除去していきます。

ポルシェシート

当初は大きな亀裂に目が行っていたのですが、削り始めたら小さな亀裂を他にも発見しました。将来的に革がさらに縮んで行った場合、小さい亀裂でも残してしまうとそこから裂けが広がる可能性があるため、全て修理します。
このくらいフラットになればOKですね。

ポルシェシート

ではこの亀裂をパテで埋めていきます。先述した通り今回は革の縮みのリスクを考え、熱は加えない方法でパテを入れていきます。今回採用するのは、紫外線硬化型のパテになります。
では、パテ入れ後の状態をどうぞ!

ポルシェシート

良い感じに亀裂を埋めてくれていますよね〜。
亀裂の修理が終わったので、後は塗装で完了となります。
といってもこのシートの場合、塗装もそこそこ難しいのです。普通のシートは単色塗装でOKなのですが、このシートは2種類の塗料で塗装されているため、下色と上色を絶妙に塗装する必要があります。


どうゆうことか、見て頂ければわかりますが、まず下色のみ塗装を終わらせるとこんな感じです。

ポルシェシート

まあ亀裂もなく綺麗に仕上がっているように見えますが、亀裂のあった下部と塗装していない半分から上の部分で、なんか色が違っているのがわかりますよね。私が塗装した部分の方が鮮やかというか。。。
ということでこの上に上色を散らして塗装していきます。

ポルシェシート

どうでしょう。先程の鮮やかさが消えて、他の部分と馴染んだ色合いになったのでは無いでしょうか。
熱をかけられない、さらに2色塗装。気をつけなければ行けない点が多い施工でしたが、お客様にもOKを頂き、施工終了となりました。