今回は初代シーマのAピラーの修理を紹介致します。私は知らなかったのですが、このお車おきまりのトラブルらしいですね。さて、何が問題なのでしょう。

では問題のAピラーを見てみましょう。

シーマAピラー修理

なんか先っぽにテープがペタペタ貼られていますね。

シーマAピラー修理

恐る恐るテープを剥がしてみると、粉砕骨折しちゃっていますね。プラスチックの劣化なので、この部分だけでなく他の部分にもクラックがはいっています。全体的にもろくなっていますので、全体的に補強修理が必要です。とはいえ、すでに粉砕骨折している部分からなんとかしていかなければ話になりませんね。

瞬間接着剤で仮止めした後、熱したピアノ線を溶かし埋めていきます。これにより粘りのある強固な接続が実現します。

シーマAピラー修理

裏側からも同様にピアノ線で留めて行きます。両側から留めることで強度が数倍になります。

シーマAピラー修理

これで作業時持つくらいで割れてしまう事がないレベルまで強度がアップしました。しかしAピラーを脱着時レベルの外力でも割れないレベルの強度が必要なので、FRPにて補強していきます。

当店ではウールタイプのFRPを使用します。FRPのガラスシートはいくつか種類がありますね。使用する目的によって使い分けるのですが、今回の場合はこのシートが良いと判断しました。ガラス繊維が不規則に配置されているため、どの方向からの外力にも粘りがあります。縦横に編まれているタイプもありますが、意外と一定方向からの外力に弱かったりするんですよね。

シーマAピラー修理

ガラス繊維のシートに樹脂を染み込ませて行くのですが、可能な限り一枚物で貼ったほうが重量アップを抑え、強度アップにも繋がります。細切れをペタペタ貼る方が楽ですが、どうしても重ねながら貼っていくため、厚みと重さがアップしてしまいます。

ということで樹脂の投入後はこんな感じです。あえてAピラーからはみ出す感じで貼付けます。樹脂が硬化後、はみ出た部分は削り取ります。

シーマAピラー修理

一日おいて硬化したら、バリを除去していきます。

シーマAピラー修理

全周のバリ取り終わりました。バリを作ることでAピラーの際まできっちりFRP化することができます。

バリ取りが終わったら、表面の平坦化です。粉砕骨折を修理する際どうしても表面に凸凹が残ってしまいます。また欠落してしまっている部分もあるため、パテを入れて平坦化します。

シーマAピラー修理

平坦化が終わったらいよいよ生地を張付ける作業に移れます。

シーマAピラー修理
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ということで、かなり時間はかかりましたが、落としたくらいでは割れないレベルの強度アップに成功した、初代シーマのAピラー張替えの完成です。

シーマAピラー修理
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