今回は神奈川県横浜市の個人のお客様からご依頼頂きました、メルセデスベンツW109の天井張替えを紹介させて頂きます。しかしこのお車、通常の接着剤で張り付けるタイプではなく、いわゆる吊り天井と言われるもので、少し特殊な技術を必要とするお車です。
当店にお問い合わせ頂く前に数社にご相談されたそうなのですが、どこも「施工NG」と断られてしまい当店にたどり着いたとのことでした。施工NGの理由は、フロントガラスおよびリヤガラスが外せないということが主な理由です。通常この手の吊り天井のお車の場合は、フロントとリヤのガラスを外しガラスを入れる前に天井の施工を終わらせその後ガラスを組み込むというのが一般的な施工工程になります。
まあ今回のお車のガラスを外せばいいんじゃない?と思われますが、ガラスを外す際に破壊してしまうモールやブッシュの変えがないため、簡単に外してつけるといかないという理由がございます。
当店もこの手の吊り天井のお車をガラスを外さずに施工した実績はありませんが、正式な施工のご契約をする前にお車を見せにお越し頂き、詳細を確認させて頂いた上で私は「いける!」と判断し施工をさせて頂くことになりました。
では施工前の状態を見ていきましょう。
時代を感じさせる車内空間ですよね~。三角窓久しぶりに見ました。
現状はパンチングの合皮で吊られているため、合皮の裏側にあるウレタンが劣化し、パンチングの穴からポロポロ落ちてきていたらしいです。それはつらいですよね。
ということで、この合皮をはがしていくのですが、先述の通りフロントガラス際およびリヤガラス際はガラスの接着剤の中に合皮が織り込まれて接着されていますので、切るしかないです。近くのゴムを傷つけないように慎重に合皮のみを切りました。
そしてお車から取り出した合皮がこれです。
6つの合皮を縫い合わせて作られています。
この外した純正の天井生地を型紙にして、忠実に再現していく方法が王道なのですが、サンルーフの開口部の寸法管理がかなり難しくなることが予想された為、若干仕様を変更し縫製を行うことにしました。
結果その判断は正しかったようで、サンルーフの開口部の貼り付け作業がとてもスムーズになりました。
とはいえ二日間にわたっての作業、かなりてんぱりながら作業していたため、途中の写真は撮り忘れいきなり完成の写真となります。
オーナー様が選びに選び抜いた若草色の合皮での吊り天井完成です。
今までの雰囲気とだいぶ変わりましたね。オーナー様も大満足の仕上がりとなりました。
まだまだ修理するところが多そうなお車、次回はウッドリペアでのお付き合いになりそうです。