今回は東京都稲城市のリペア仲間から助っ人依頼を受け、仲間のガレージへ出向いての天井張替えとなりました。我々の業界は独立開業を行い、一人でやっている事業主が多いため、近隣の同業者間で色々と助け合って頑張っています。あるときは市場で競合になったり、またあるときは助け合ったり、面白い関係ですよね。ただ、基本は仲良しです。
特に今回のような天井張り替えは、一人で施工するとやたらと効率が悪くなるため、最低でも2人で施工することが多いです。
ということでやっていきましょう。アウディーA4セダンの天井張替え。
まずは初期状態を御覧ください。
A4セダンの天井は、どのモデルからなのかわかりませんが、デザインが変わったんですよね。以前のタイプの天井は、手で握る部分(アシストグリップ)が天井にはついておらず、ピラー側についていました。最近のタイプは天井側についています。これが天井張り替え職人にはかなり大きな違いとなります。
アウディーA4セダンは、後部座席の背もたれが前に倒れてトランクスルーの構造になるのが特徴です。外した天井はそこから引き出すのですが、以前のタイプはアシストグリップが無い分、天井の幅が狭い為天井を折ったりすることなくスムーズにトランクから引き出すことが可能です。
今回のお車はこのタイプなので、天井へのダメージゼロで引き出せます。
しかし最近のタイプはアシストグリップ部分まで天井が広がっている為、トランクから天井を引き出す際、かなり天井を湾曲させなければなりません。引き出す際湾曲させるという事は、入れるときも同様に湾曲させることになるので、新しい生地を綺麗に貼った天井に湾曲筋(折れ筋)が出てしまう場合があります。これに関しては事前にお客様のご了解を頂いた上での受注とさせていただいております。
ということで今回はちょっと昔のタイプのデザインの天井なので、ご覧のとおりダメージゼロで引き出せます。
取り出した天井を見てみると、アシストグリップを取り付けるための穴がついていないですよね。その分幅が細いデザインなんですね。
さてお次は垂れてきた生地を剥がして、クリーニングの工程です。一番面倒であまり好きではない工程ではありますが、本日の工程の中で一番重要な工程となります。どんなに優秀な接着剤を使用しても、どんなにスキルの高い職人が貼付け作業をしても、この工程で手を抜いてしまったら、耐久性の有るきれいな仕上がりにはなりません。
ブラシ、溶剤、場合によってはサンディングペーパー等も使いながら、接着剤の食いつきの良い下地に仕上げていきます。
クリーニング完了するとこんな感じになります。
ここまで綺麗になれば問題ありません。
では接着剤を塗布して新しい生地を張付けて行きましょう。
天井の張付け作業方法は、我々の業界では大きく2つの流派があります。一つは私が行っている、地面に天井をおいて作業する流派。もう一つはテーブル等の上において作業する流派です。どちらも一長一短あるので、どちらが良いとも悪いとも言えませんが、私は両手両足を駆使できる地面置きスタイルがやりやすいですね。
ということで張替え完了しました。
それにしても仲間のガレージ、とっても美しくてかっこよく、羨ましい限りです。こうゆうガレージ持っていたら仕事のモチベーションも上がりますよね。
さて、張替えが終了した天井をまたトランクルームからお車に入れ、取り外した部品を組み付けていけば完成となります。
キリッとしまった、アウディー特有の美しいデザインの天井に戻りましたね。