今回は東京都のお客様よりご依頼頂きました、ゲレンデの天井張り直しを紹介させて頂きます。ゲレンデと言えば私の今までの経験では、張り替えしか行ったことがなく、初めての施工となります。
お客様に教えて頂いたところのお車情報は、w463 G55 AMG 30th Anniversaryモデルとの事。AMGしかもAnniversary。。。。。
私が今まで出会わなかったのも頷けます。
しかしすでにこの限定モデルのスエード(アルカンタラ)を使用した天井は製造されていないらしいので、引き続きスエードにこだわって乗り続けて行くには、張り直すしかないですよね。
ということで、当店が頑張ることになりました。
まずは施工前の状態。天井を車外に出したところからのスタートになります。
流石に高級感がありますよね〜。これを普通の布に替えてしまったら限定車が泣きますね。
未経験の施工ではありますが、限定車を限定車のまま復活させて行きましょう!
まずはボード側の劣化ウレタンのクリーニングです。
クリーニングは天井の劣化ウレタンの状態によって、水・洗剤・アルコール・溶剤を使い分けまず。溶剤が一番強い洗浄力がありますが、逆にその強さが悪影響を及ぼしてしまう事もあるので、やはりその時の状況に合わせた方法を選択する必要があります。
そして今回は張り替えではなく、張り直しなので、表皮(スエード)の裏面もクリーニングしなければならないのですが、ちょっと問題発生です。
表皮の裏面に1〜2mmくらいの硬質ウレタンが貼り付けて有りました。この水色のウレタン自体は劣化していなかったのですが、どうも表皮との密着が悪いのです。写真のように簡単に表皮をウレタンから剥がしていく事ができてしまいます。
本来の工法であれば、この水色ウレタンと表皮を剥がす事なく水色ウレタンの裏面をクリーニングし、再貼付を行うのでしょうが、これだけ簡単に剥がれてしまうとかなり心配です。
例えば中古自動車ディーラーから、「オークションの時だけもってくれれば良いから、安くやって!」と言われれば、あえて水色ウレタンと表皮を剥がすことはせず、そのまま貼り付けるところですが、今回はお客様がこのスエードを愛し、今後何年も乗り続けられるという事がわかっているので、施工後数年間剥がれることなく綺麗な状態を保つ必要があります。
ということで手間は格段にアップしますが、耐久性重視で全面この水色ウレタンと表皮を剥がす事にしました。
そうなるともう一つ決めなければいけない事があります。
それはスエードの下地に別のウレタンを貼り付けるか否かということです。
手触りを良くするためには下地ウレタンを貼り付けた上からスエードを貼り付けたほうが良いのですが、下地ウレタンもいずれ劣化するので、耐久性を求めるならスエードの直張りがベストです。
最終的に私の判断は、触ると硬さを感じるものの、お客様が末永くこのお車に乗り続けられるため、下地ウレタンは無しで直張りでスエードを貼り付ける、というものでした。
方針が決まればあとはやるだけ。
すべての水色ウレタンを剥がし、ボードとスエード両方に接着剤を塗布し、サンバイザー周りから貼り進めて行きます。
ケイマンやアストンマーチンくらい天井が小さければ、一気に接着剤を塗布し一気に貼り付けられるのですが、ゲレンデクラスになると途中で接着剤が乾いてしまうため、接着剤を吹いては貼り付けの繰り返しの作業を行う必要があります。
後部座席のルームランプまで完成しましたね。あとはトランクルームの上を残すのみ!
ようやく貼り終わりました。
しかし、あたりはすっかり暗くなってしまいました。
ということで本日の作業はここまで。天井を車に入れての組付け作業は明日になります。
2日目、朝から組み付けをスタートして、完成しました。
やっぱり違う布への張り替えではなく、既存生地を再利用しての張り直しをしてよかったですね〜。高級感半端ないですね。
写真ではわかりませんが、下地ウレタンを入れていないので、手で触ると硬さを感じる天井になりましたが、その反面二度と落ちないレベルの耐久性をもたせることができました。