今回はディーラー様からご依頼頂きました、ポルシェカイエンのダッシュボード修理を紹介致します。事前の打ち合わせで、ダメージの範囲及び修理の施工方法からダッシュボードを外さないと出来ないというお話をさせて頂いたので、ダッシュボードを外した状態でお持ち込み頂きました。

では施工前の状態を見ていきましょう。

ポルシェカイエンダッシュボード

なんか剥がれちゃっていますよね。具体的な施工箇所は次の赤丸部分になります。

ポルシェカイエンダッシュボード

本革の縮みによる浮きと破れになります。本格的に修理するとなると、新しい本革で張り替えるのが一番ですが、微妙な革の質感の違い、色合いの違い、費用等の問題も発生します。
ということで今回ディーラー様からのご依頼は、現状の革を再利用し再貼り付けを行い、さらに破れをリペアし費用を抑えていきたいというものでした。
当店としても初めての案件でしたが、施工のイメージが出来たので受けさせて頂く事になりました。

再貼付の為、表皮を大幅にめくらなければならないのですが、その為には表皮に付随する部品を外していく必要があります。このダッシュボードの場合いくつかの樹脂パーツが順番に溶着で組み立てられていますので、その溶着部分を削り取って行かないと分解出来ません。

ポルシェカイエンダッシュボード

破壊した溶着部分は組立時、採溶着やエポキシ接着剤で接合していきます。
溶着部分を破壊し、表皮をめくり、再接着の為のクリーニングを行います。何でもそうですが、接着力を高めるのに一番重要なことは汚れ・油分の無いピュアな接着面を作ることです。市販の瞬間接着剤でも接着面をピュア化すると驚くほどの接着力を発揮します。

ポルシェカイエンダッシュボード

さてあとは再接着そして破れのリペアをすれば完成となります。ここまでくれば対象が何であれ、ホームグラウンド内の作業になりますので大丈夫です。笑

ポルシェカイエンダッシュボード

浮きも破れもなくなりました。
しかし、本革はこれからも縮んで行きますので、いずれまた浮きや破れが必ず出てきます。本革はたしかに高級感ありますが、合成皮革も年々レベルアップし、表から見ただけだと私でも本革なのか合皮なのか区別つかないものもあります。ポルシェもレベルの高い合成皮革を採用してくれるとこのような事が無くお客様に優しいダッシュボードになるんですけどね。(その分私の仕事はなくなりますが・・・)