今回は神奈川県横浜市の個人のお客様からご依頼頂きました、ポルシェ911カレラの天井張直しを紹介させて頂きます。今回もお客様が作業に参加する「助手割引」でのご依頼となりました。
天井の生地素材はスエードです。
お客様は現在の生地を再利用する張直しで施工するのか、施工金額的に安い違う生地を使用する張替えにするのか悩まれていましたが、最終的に現在の生地を再利用する張直しで施工することを決定されました。
天井の生地をどうするかは基本的にオーナー様が満足できる選択をされれば、誰に何を言われようがそれが正解だと思いますが、1点言えることは、あまりに純正とかけ離れた色合いにすると、将来販売する際金額をたたかれてしまいます。近未来に車を売却する可能性がある場合は、あまり冒険せず純正に近いものを選ばれた方が良いと思います。
しかし、販売する際の金額より現在の満足の方が重要と考えられる方は、純正生地と似ている物を探すのではなく、好きな生地を選びカスタムを楽しむのも大いにありだと思っています。
さて、前置きが長くなってしまいましたが、施工前の状態を見てみましょう。

全部垂れちゃっています。
天井が頭にサワサワ当たって、とても気持ちが悪いと言われていました。そうですよね。でもその気持ち悪さを我慢して当店にお持ち込み頂いたので張直しが出来たのです。頭に触るからと言って接着剤やビス留めされてしまうと再利用できなくなってしまいますからね。
ポルシェ911カレラ、天井を取り外すのは比較的簡単なのですが、以前から何とかしなければと思っていたパーツがあります。それはBピラー。このパーツだけ今までスマートに外すことが出来ていません。構造はわかっているのですが、外すべきクリップのロックを解除することが出来ずいつもパワーで外し、車のフレームに取り残されてしまったクリップを外し、ピラーに戻すという外し方をしていました。
これでも外れるので結果は同じなのですが、スマートではないのです。
そこで今回お客様に少し時間を頂き、そのクリップを外す為だけのツールを作りました。名前は「911」。そのまんまですねw

これを使えば一発でかつスマートにBピラーを外すことが出来ました。これからは大いに活躍して頂きましょう。
新ツール911のおかげで天井もスマートに出てきました。

次はクリーニングですが、今回は張直しなのでライナーボード側だけでなく、生地の裏面もクリーニングしなければなりません。この工程が張替えにはない、張直し特有の工程になります。
そして双方のクリーニングが終了したら、それぞれに接着剤を塗布し貼り付けていきます。
張直しの場合は4つの辺、そしてすべての穴の位置を合わせつつ、しわが出ないように接着していく必要があるため、ただ新しい生地を貼り付けるのと比較して技術力が必要になります。
そして貼り終わった天井がこちらです。今回ボードと生地の間にウレタンを挟まずに張り付けたので、2度とはがれてこない天井になりました。(手触りは固くなります)

完成した天井をお車に組み付けて完成となります。

張直しなので目新しさはありませんが、原状復帰完成といったところです。
お客様にも天井が高くなったと、とてもご満足頂けました。