今回は愛知県の個人のお客様よりご依頼頂きました、メルセデスベンツG550の天井張直しを紹介させて頂きます。今回は違う生地に張り替えるのではなく、純正のスエード生地を再利用する「張直し」での施工となります。
それにしても当店からかなり遠方の愛知県からのご依頼で、「お車に乗ってこられるのかな~」と思っていたら、陸送会社のローダーでお持ち込み頂きました。遠方よりのご依頼誠にありがとうございます。
今回の張直し施工は、通常の張替え施工より工数が多いため、職人3人がかりで施工しても丸二日かかります。よって、1日お泊りして二日目完成したらまた陸送会社に引き上げてもらいます。

さて、それでは施工前の状態を見て行きましょう。

メルセデスベンツゲレンデ(G550)天井張直し

ぱっと見大きく垂れているわけではないのですが、近づいてみると・・・

メルセデスベンツゲレンデ(G550)天井張直し

なんか今までに見たことのない垂れ方です。単にウレタンの劣化による垂れだと、もっと派手に垂れてくると思うのですが、なんか垂れというより浮きといった方が適切かもしれません。原因究明は天井をはがしてからにして、まずは天井を車外に取り出す為、職人3人で取り外し作業を進めていきます。

Gクラスの場合、リヤのハッチバックからライナーを引き出す際、いくつか保護をしてあげる必要があります。当店では赤丸の部分をしっかり養生し引き出し作業で他の内装を気づ付けない様、やりすぎ気味に養生をしてから引き出します。

メルセデスベンツゲレンデ(G550)天井張直し

ライナーを引き出したらクリーニング作業です。しかし今回の天井のウレタン、さほど劣化しておらずクリーニングにかなりの時間を要してしまいました。また、通常劣化ウレタンの除去には金属ブラシを使用するのですが、Gクラスの場合金属ブラシを使ってしまうとベースの表面を荒らしてしまうため、ウエスで優しくウレタンをクリーニングしていきます。

メルセデスベンツゲレンデ(G550)天井張直し

天井のベースボードのクリーニングが完了したら、今度は純正の生地の裏面のクリーニングを行います。違う生地への張替えの場合はこのまま生地を貼って完成となりますが、今回は張直しなので、生地の裏面のクリーニングも必要になります。
しかし、スエード生地の裏面になにかもう一層布のようなものが貼り付けられています。よくよく観察すると、施工前に確認できた微妙な浮きは、この布とスエードが所々はがれていた為に発生していたことがわかりました。ということはこの白っぽい布をクリーニングしたところで浮きの解消は出来ません。
仕方が無いのでこの白っぽい布とスエードを分離し、スエードのみ再利用することを決めました。

メルセデスベンツゲレンデ(G550)天井張直し

白い布をはがし終わったところで、ベースボードにスエード生地をかぶせてみました。このまま貼り付けられればそれでも良いのですが、白い裏面の布がなくなった分厚さがなくなり貼り付け距離が長くなった為、このままでは位置が合わない事がわかりました。これは白い布の代わりとなる下地ウレタンを先に施工する必要があります。

メルセデスベンツゲレンデ(G550)天井張直し

ということで、下地ウレタン付き生地をまずは施工しました。

メルセデスベンツゲレンデ(G550)天井張直し

スエードではありませんが、これはこれで綺麗ですね。

さて、これでスエードを貼り付ける準備は整いましたが、すこし気がかりが。。。
浮いていた部分が長年その形でホールドされていた為、スエードにシワ癖がついてしまっていました。接着剤を塗布し引っ張って貼り付ければ、もしかしたらそのシワ癖もわからなくなるかも知れませんが、消えなかった時のことを考え、ひと手間追加になりますが、シワ癖がついている部分をアイロンがけして伸ばしていきます。
施工って、こうゆう急がば回れ的な工程が、後々効いてくる事が多いんですよね。

メルセデスベンツゲレンデ(G550)天井張直し

すべてのシワ癖をアイロンで伸ばし終わったら、やっぱりやってよかった~と思いました。
シワ癖もなくなって、あとは穴を合わせて貼り付けるだけです。

メルセデスベンツゲレンデ(G550)天井張直し

職人3人で手分けして貼り付け作業を進めていきます。このくらいの時期だと一気に貼り付けることは難しいため、少しづつ接着剤を増し吹きしながらの作業となります。
天井をいくつかのブロックに分け、ブロック毎接着剤を増し吹きしながらの作業なので、時間がかかりますね。

ということでシワ一つなく完成しました。

メルセデスベンツゲレンデ(G550)天井張直し

ここにきて、やっぱり急がば回れのアイロンがけしておいてよかったって感じです。
あとはお車に組み付ければ完成となります。

メルセデスベンツゲレンデ(G550)天井張直し

やはり純正生地の貼り直しは手間がかかりますが、良いですね。当然ですが、Aピラーやサンルーフボードともばっちりあっています。

アルカンタラをはじめとするスエード材、本革、ビニール素材は張直しが出来る場合が多いので、ご希望の方はお気軽にご相談下さい。

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