今回は神奈川県横浜市の個人のお客様よりご依頼頂きました、ポルシェケイマン981型の天井張替えを紹介させて頂きます。今回もお客様が私と一緒に施工する助手割引でのご依頼となりました。
また今回は天井張替えだけではなく、Aピラーの張替えも一緒にご依頼頂きました。このAピラーですが、いくつか考え方がございます。天井用の生地の裏面にはウレタンが溶着されているのですが、天井用はウレタン厚が3㎜~4.5㎜なのに対してピラー用は1㎜~1.5㎜となっています。なぜピラー用のウレタンが薄いものを使用するのか、これはピラーの形状が複雑なものがある事と、薄いウレタンでないともったりした仕上がりになってしまう事、それと天井との接続部分に厚みが出てしまう事を防ぐ為です。
このような観点からピラーの張替えは薄い厚さのウレタンを使用した方が良いのですが、別の考え方として「ロット違いによる微妙な色合いの差」という問題があります。この問題を避けるためには、その日使用する天井生地と同じロットの生地を使用することが一番の対策になります。ただ、3㎜~4.5㎜のウレタンが溶着された生地を貼り付けることになりますので、上記問題が発生します。
しかし、それらの問題がある事を職人が理解し、テンションを高く貼りつける事により、厚いウレタンを使用しても問題ないレベルに仕上げる事が出来ます。

長くなりましたが、これらの内容をお客様に全て説明した上でお客様が下した決断は、天井生地でピラーを貼るというものでした。お客様がそのご判断をされた以上、私ももったりさせない様、気合を入れてピラーを張り替えていきましょう!

前置きが長くなりましたが、天井張替えの本題に入ります。

■ 施工前チェック

施工前にお客様と一緒に、天井の状態、劣化ウレタンの状態およびライトの点灯チェックを行っていきます。事前に一緒に確認することで、施工後のトラブルをお互い未然に防ぐことが出来ます。

まどの向こうでは、息子とお客様がフォルクスワーゲンシャランの天井張替えを始めようとしています。本日は2台同時の天井張替えです。

ポルシェケイマン981天井張替え

■ 内装部品の取り外し

さていよいよ部品を取り外して天井を車外に引き出していきます。通常はAピラーは浮かすだけで外さないのですが、今回はAピラーも張り替えるためAピラーも完全に取り外します。981ケイマンの場合Aピラーの下に樹脂プレートが付いていますが、これも外してしまった方が組み付け時楽になります。

ケイマン981型は取り外す部品が少ないのですが、ポイントをわかっていないと若干苦労するお車です。そのポイントとは、
・マップランプユニット
・天井クリップ(後部)
・車からの引き出し方
の3つです。このポイントを理解していると比較的簡単に車外に取り出す事が出来ます。

ポルシェケイマン981天井張替え

■ クリーニング

取り出した天井をクリーニングするのですが、生地をはがしてみたところ、生地が劣化ウレタンのほとんどを持って行ってくれました。これはラッキーなパターンですね。とはいえまだボード上に劣化ウレタンが残っていますので、2種類のブラシで除去していきます。

ポルシェケイマン981天井張替え

■ 接着剤塗布(下塗り)

天井張替えの要所となる部分に刷毛で接着剤を塗っていきます。本来であれば全面的にこの処理をした方が良いことはわかっていますが、過剰品質になりその分工数も接着剤使用量も増え、その分お見積りも高くせざるを得なくなる為、実使用上問題の無いレベルを見極めての塗布範囲となっています。

ポルシェケイマン981天井張替え

■ 接着剤塗布(吹き付け)

刷毛塗りの後は全体的にスプレーガンで接着剤を塗布していきます。重要なポイントは刷毛とスプレーの2度塗りになることになりますね。

ポルシェケイマン981天井張替え

■ 接着剤塗布(生地側)

同様に生地側にも接着剤を塗布していきます。ボード側同様、重要なポイントは手厚く吹いていきます。生地の裏面に描かれている線が重要ポイントとなります。当店では天井用の生地の裏面に写真のような設計図を描きます。(設計図というほどの物ではありませんが)これにより無駄のない接着剤塗布を行う事が出来るのです。

ポルシェケイマン981天井張替え

■ 貼り付け

ライナーボード側と生地側両方に接着剤を吹き終わったらいよいよ貼り付けを行います。この貼り付けの順番は天井張替え業者によって個性が出るところだと思います。私も過去から色々な順番で試してきて、現在の順番にたどり着きました。自分的には最善の順番だと考えています。

ポルシェケイマン981天井張替え

表側が貼り終わったところです。ボードよりも大きく生地をはみ出させているのは、この後裏面へ折り返していくからです。純正も所々折り返されていますが、当店ではケイマン981の場合はすべての端を折り返しています。

ポルシェケイマン981天井張替え

■ トリミング、折り返し、穴あけ

表面が貼り終えたら、ここから先の工程はカッターを使用する為、都度お客様に参加されるか否かの確認を取らせて頂いております。というもの、カッターを使用した場合、手を切るリスクがゼロではない為、職業柄問題になる職種もあるためです。何年もこの仕事をしている私でさえ、ちょっと急いでいたりすると手を切ってしまいますので、カッターに慣れていないお客様の場合なおさらそのリスクが高くなります。
今回もお客様に確認させてもらったところ、「大丈夫です」との事だったので、ご参加頂きました。
写真は本日のお客様の作業風景となります。

ポルシェケイマン981天井張替え

■ Aピラー張替え

トリミング、折り返し、穴あけが終了したところで天井はいったん置いておいて、今度はAピラーの張替えとなります。今回特に純正の生地が垂れていたというわけではないので、あえて純正生地をはがさず上から貼り付ける方法を取りました。純正の生地をはがすかはがさないかは、端を少しはがしてみて決めています。今回の場合、無理やりはがしてしまうと、表面が荒れてしまう事がわかったので、はがさず上から貼り付ける方法を選択しました。ただ、先述した通り天井と同じ生地(ウレタン厚3㎜)を使用しますので、ただ貼っただけだともったりしてしまいます。可能な限りテンションをかける事によりウレタンをつぶして貼り付け、もったり感を払拭します。ここで生地の特性を知らずに施工すると仕上がりが非常にしょぼくなります。特に今回はメッシュ生地なので、テンションはかけるけどメッシュの目は荒らさない、これが出来なくてはダメですね。

ポルシェケイマン981天井張替え

写真ではわかりにくいですが、もったり感も極限まで抑え且つ、メッシュの目も荒らさず貼り付けました。
お客様も、もったり感に関してはご心配されていましたが、仕上がったものをご確認頂き安心されたようでした。

ポルシェケイマン981天井張替え

■ 組付け

天井、Aピラー、本日張替えを行うすべての作業が終わったので、最後の組付け作業に移ります。組付け作業で一番難しいのは、ライナーを入れた直後、天井が手を放しても安定するまでの間です。今回はお客様がフロントガラス側、私がハッチバック側を担当しました。ケイマン981の場合、マップランプの裏にガイドピンがあり、ここを一番最初に入れる事により原点が出ます。ここはお客様担当。
原点位置が確定したあと、ハッチバックに乗り込んだ私が後方の二つのクリップを入れていきます。これで天井の位置が正常な位置に置かれたという事になります。この位置がずれる前に天井に施されている6か所のマジックテープをつければ、もう手を放しても天井は落ちてこないので、ゆっくり部品を組み付けていくことが出来ます。きっと量産生産時もポルシェの工場ではこんな手順で作業しているんでしょうね。

ポルシェケイマン981天井張替え

■ 完成

完成の写真を撮り忘れてしましましたが、Aピラーから天井までメッシュのブラックになり、引き締まった車内になりました。直前までブラックにしようかダークグレーにしようか、お客様は悩まれていましたが、マップランプユニットやサンバイザーを張替え用の生地の上に置き、確認されて最終的にブラックにされました。仕上がった天井を見て、そのご自分のご判断にご満足されていました。

本日は助手作業お疲れさまでした!

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