ポルシェカイエンをはじめ、ケイマン・911に多く見られる、ドアの内張り(トリム・パネル)の浮き・剥がれに関して、その原因と修理金額を解説します。

また後半では東京都の外車ディーラー様からご依頼頂いたポルシェカイエンのドアの内張り修理の実際の施工の様子を紹介させて頂きます。


   

1 浮き・剥がれの原因

ポルシェカイエンのドアの内張りは、表側から以下のような構成で作られています。

・表皮(本革・合成皮革)
・高密度ウレタン層(7~8㎜)
・ベースプラスチック

これら3つの素材が接着により接合されているのですが、ドアから差し込む紫外線と車内の温度の影響で表皮に縮みが発生します。縮む力は大きく、3つの素材の互いの密着力を超えて縮んだ場合、各層のいずれかの部分で剥離が発生します。一番多い剥離現象は、高密度ウレタン層とベースプラスチック間での剥離です。
この剥離が発生するとドアのガラスの開閉時、ドアの内張りとガラスが接触してしまう場合もございます。



      

2. 修理比較(専門店とディーラー様) 重要


ここでは、修理をするとなったらどのような選択肢があるか、具体的な費用を説明致します。
選択肢としては、①当店のような専門業者に依頼し修理を行うか、②ディーラーでドアの内張りを新品に交換するかの二択になります。
ではそれぞれの特徴および費用を以下の通り説明させて頂きます。

① 修理専門業者に修理依頼

■ 特徴 ■

  1. 接着による修理
    剥離した層に対して耐熱温度100度以上の接着剤を使用して再接着します。自動車の車内温度は高いところで80℃近くなります。またそれぞれの層で違う素材を使用している為、耐熱温度と素材への適合性をクリヤーした接着剤を使用しないと再びはがれる結果となります。
    当店では耐熱温度と適合性をクリヤーした接着剤を使用しています。
  2. 見栄えという点では新品に劣る
    強固に接着できたとしても、一度剥がれたものを接着するわけですから、やはり新品と比べれば見劣りします。特に際の部分ではなく内部でウレタンに割れが発生している場合、その段差が表皮に現れてしまい、それを消すことは出来ません。あまりにひどい場合は修理不可の場合もございます。
  3. 施工後の保証
    施工後何らかの不具合が発生した場合、どう対応してもらえるのか。その保証の手厚さが店舗によって差があります。

■ 修理費用 ■ (金額は劣化の状態・修理痕の有無により変動します)

40,000円~60,000円(税込)

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② ディーラー様で新品交換

■ 特徴 ■

  1. 新品のドアの内張りに交換
    ポルシェより部品の供給がある型式に関しては、新品を購入して交換するという方法もあります。修理に比べ、どんなにひどい状態でも交換なので修理不可という事にはなりません。
  2. 交換金額が高い
    新品交換なので、これは致し方ないと思いますが、修理に比べてコテンパンに高額になります。それでもどうしても綺麗にしたい場合は交換を選ぶべきでしょう。
  3. 施工後の保証が安心
    何といってもディーラー様での交換ですので、交換したドアの内張りに何らかの問題が後日発見されてもその保証体制はばっちりです。

■ 修理費用 ■ (ディーラー様からの情報・型式により変動)

・工賃・・・30,000~50,000円
・部品代・・・200,000~300,000円

③ 結論・まとめ

これはディーラー様より伺ったお話ですが、ディーラー様にも同様の問い合わせが多く入るとの事ですが、ディーラー様が新品に交換を行う修理はほぼ稀だという事です。やはり新品の部品代がネックになっているそうです。ドアの内張り全体的には特に問題が無く、ガラスの際の部分だけですので、それに高額の交換費用をかけたくないというのがユーザーの本音なのでしょう。
信頼のおける修理専門店に依頼するのが、ベストな方法なのかも知れません。


   

3. ポルシェカイエンドア内張り修理施工の紹介

ここからは実際のポルシェカイエンドアの内張り修理の施工を紹介させて頂きます。今回は東京都のディーラー様からのご依頼となりました。


■ 施工前

アルカンターラが組み込まれたオシャレなドアトリムです。この角度から見るとどこに問題があるのかわかりませんね。という事で問題の部分を見て行きましょう。

ポルシェカイエンドアトリム(パネル)剥がれ・浮き・めくれ修理

ここです。
今回の症状は、高密度ウレタン層とベースプラスチック層の接着部の剥がれです。
しかも一度誰かが接着にチャレンジされた跡がありますね。残っている接着剤の素性を確認すると、これはゴム系の接着剤です。簡単に入手できますが、耐熱温度が低すぎる事と、高密度ウレタンとの相性があまりよくはないですね。結果ご覧の様に再発してしまいます。
ただ、我々のような修理専門店的には、このように一度施工されている部品の再施工は非常に困難です。なぜなら、このゴム系接着剤を全て除去しなければ我々が使用する接着剤の力を100%発揮させることが出来ないからです。

ポルシェカイエンドアトリム(パネル)剥がれ・浮き・めくれ修理

■ クリーニング

という事で、まずは地道に、ほんと地道にゴム系接着剤を除去していきます。再接着の工程の時間よりこの除去作業の方が工数がかかります。よってその分工賃も上がってしまいますので、浮きや剥がれが確認出来たらDIYで何とかせず、専門業者にご依頼されるのが最も安く修理する方法です。
写真は奥側から除去作業を進めて来て、あと手前が少し残っているという場面です。
この後接着剤の為の足付けサンディングを行い、脱脂して接着となります。

ポルシェカイエンドアトリム(パネル)剥がれ・浮き・めくれ修理

■ 完成

耐熱性のある接着剤を使用し、完成となりました。
とはいえベースプラスチックと高密度ウレタンの接着部から若干接着剤が染み出ていました。
ドアに組み付けてしまえば見えなくなる部分ではありますが、今回はディーラー様からのご依頼でドアの内張り単体でお預かりしている案件なので、少しでも見栄えが良くなるよう、際の部分にテープを貼らせて頂きました。

ポルシェカイエンドアトリム(パネル)剥がれ・浮き・めくれ修理

   


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