今回は神奈川県の個人のお客様からご依頼頂きました、ポルシェカイエンのダッシュボードの浮きや剥がれに対する張替え修理を紹介させて頂きます。

このダッシュボードの浮きや剥がれに関するトラブルは、ポルシェオーナーの悩みの種です。
カイエンだけでなく、マカン・タイカン・911等ダッシュボードに本革を使用しているお車の場合、本革が紫外線と熱により革本来が持つ水分や油分が失われ乾燥が進み、縮んできます。その縮む力に接着力が耐え切れず浮きや剥がれが発生するのです。本革は生き物なのでどうしても避けられない現象です。
縮んでしまった本革は保湿してももとには戻りませんので、修理の選択肢としては「張替え」の一択となります。
しかし本革で張替えるとまた同じ現象が再発しますので、当店では本革に酷似した合成皮革かアルカンターラでの張替えを推奨しています。
また、ダッシュボードだけではなく、ドアの内張りも反り返って浮いてきます。昨今の温室効果ガスによる地球温暖化の影響か、最近修理件数が増えてきています。
大切なお車を末永く乗り続けて頂くため、当店の修理を紹介させて頂きます。

1. 当店の修理スタイル

ダッシュボードおよびドアの内張りを修理する為には、それぞれお車から取り外した状態で作業をします。ドアの内張りくらいであれば当店でも取り外しが出来るのですが、ダッシュボードとなるとさすがに当店で脱着することが出来ません。

そこで当店は、ポルシェセンター様と連携させて頂き、ポルシェセンター様で購入されていないお車でも当店からの依頼で取り外し~保管~組み付けを行って頂ける事になっております。
(すべてのポルシェセンター様で対応出来るわけではございません)
全体的な流れは以下の通りです。

  • お客様と私がポルシェセンター様に集合
  • お車をお預けし打ち合わせを行い解散
  • ポルシェセンター様でダッシュボード取り外し
  • 私がダッシュボードを引き取り
  • 当店で修理、完成後ポルシェセンター様へ持ち込み
  • ポルシェセンター様で組み付け、完成後当店へ連絡
  • お客様と私がポルシェセンター様に集合し、お客様が直接ポルシェセンター様にお支払い。

脱着および保管費用に関しては、当店は一切金銭的には関与しませんので、お客様が直接ポルシェセンター様にお支払い頂く事になります。
ポルシェセンター様での脱着保管費用は車種と型式で違いがありますが、おおよそ10~18万円位が目安になります。

今回紹介させて頂く修理も上記段取りで進めさせて頂きました。
ではダッシュボードの実際の施工を紹介させて頂きます。

2. 初期症状確認

ポルシェセンター様に外して頂いたダッシュボードを引き取って来て、状態を確認します。
平面部やくぼみ部分に浮きが見られます。ステッチが入っている帯状のエリアは特に問題がありません。

このような場合当店では極力修理費用を抑えるため、ステッチが入っている帯上のエリアは手を付けず、平面部のみ張替え修理を行います。もちろんお客様のご希望があれば帯状のステッチ部分の張替えも承ります。

ポルシェカイエンダッシュボード張替え

3. 分解

工程の一番最初が、分解です。ポルシェカイエンのダッシュボードだけでなく、ほとんどのダッシュボードはいくつかの樹脂成型によってつくられたパーツを、溶着により組み立てられています。溶着というのは、それぞれの樹脂部品を熱で溶かしてつけているという接続方法の事を言います。

施工のクオリティーと耐久性を高めるためには、これらの部品をばらして作業する必要があるため、溶着部分を破壊し、一旦ダッシュボードをいくつかのユニットに切り分ける作業を行います。
溶着部分を破壊するという事は張替え後組み立てる際、何らかの方法で破壊部分を再生する必要があります。しかも元の強度が出ないといけません。当店では熱やエポキシを駆使し強度および耐久性のある再生を行っております。

4. 張替え

分解し、ユニット化されたダッシュボードから縮んでしまった純正本革をはがし、クリーニングして新しい表皮を貼り付けていきます。写真で青っぽく見えている部分は硬質ウレタンなのですが、今回は純正品をそのまま再利用できますが、ものによってはこのウレタンも本革の縮みと一緒に引っ張られ、面がガタガタになってしまっている場合もございます。その場合はこのウレタンからの張替え作業となります。

ポルシェカイエンダッシュボード張替え

今回のお客様のご依頼は合成皮革ではなく、アルカンターラ。アルカンターラも合成皮革と同じ石油化学製品ですが、いわゆるスエード素材、布です。東レのヨーロッパ向けブランドです。

ダッシュボードに使用される表面素材は、光の反射をフロントガラスに映し出さない様、本革や合成皮革は艶消しの物を使用しますが、アルカンターラも暗い色であれば映り込みは全く気になりません。

接着剤を両面に塗布しアルカンターラを貼り付けていきます。アルカンターラはロール方向へは一切伸びず、幅方向に少しだけ伸びるという、張替え屋にとってはちょっと扱いづらい素材です。この伸び方向をどちらに取るかによって、貼り付け方法がガラッと変わってきますので、最初のプランニングが大切になります。

ポルシェカイエンダッシュボード張替え

5. カイエンダッシュボード剥がれ・浮き修理完成(アルカンターラ張替え)

今回はステッチのある帯状部分は純正のまま残し、縮みや浮きがひどかった平面部のみアルカンターラに張替えるというお客様のご依頼でした。お客様の車内には純正でいたるところにアルカンターラが散りばめられている、高級感あるれる車内なので、車内のアルカンターラと色合いが近いアルカンターラを今回選択頂きました。では、完成をご覧ください。

ポルシェカイエンダッシュボード張替え

お客様のドアの内張りも本革とアルカンターラのコンビデザインになっている為、全面アルカンターラにせずにあえて平面部のみアルカンターラで張り替えた事により、ダッシュボードも本革とアルカンターラのコンビ感が出て、他の内装と違和感なく溶け込んだ車内になると思われます。

この後このダッシュボードをポルシェセンター様に私が持ち込み、ポルシェセンター様で組付けてすべての作業が完了となります。

=その他のダッシュボード修理=

・合成皮革を使用したポルシェカイエンダッシュボード剥がれ・浮き修理

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