今回は長野県の中古車ディーラー様よりご依頼頂きました、ポルシェケイマンの天井修理に関して紹介させて頂きます。今回は純正生地がアルカンタラなので、張替えではなく張直しでの施工となります。
当初勉強の為施工に参加したいと表明されていたのですが、ポルシェケイマンを積載車に乗せてお越しになった為、申し訳ないのですが今回は施工に参加できなくなってしまいました。当店の駐車場は3台のお車を停める事が出来ますが、私含め従業員の車で駐車場がふさがっており、積載車を停めるスペースが無かったんですね。非常に残念ですが、完成までの間積載車と共にどこかで時間をつぶして頂くしかありませんでした。

という事で本日は私一人での施工に急きょなりました。
でかいお車だと一人では無理ですが、ポルシェケイマンであれば何とか一人で大丈夫です。とはいえ張直しなのでタラタラやっていたら終わりませんので、気合を入れて取り掛かります!

では行ってみましょう!

■ 施工前チェック

施工に入る前に毎回施工前チェックを行います。助手割引の場合はお客様と一緒に、お客様がいらっしゃらない今回のような場合はケースバイケースで撮影を行います。作業に入る前にチェックを行う事で施工後の問題点の切り分けが出来、お客様も当店もスッキリ作業を終わることが出来ます。主なチェック項目と対応は以下の通りです。

・室内灯の点灯確認
特にサンバイザーのバニティーランプはあまり使われないお客様もいて、点灯するかどうかわからないという場合もございます。また長く使用していない場合接点に酸化被膜が溜まり、問題が無くても点灯しない場合もございます。いずれにしても点灯しなかった場合、何度か開閉を行い酸化被膜をワイピングにより除去し、それでも点灯しなかった場合は天井を車外に出した後、ランプが切れていないか、断線が無いかの確認を行います。

・天井生地の垂れ具合確認
天井生地が大きく垂れて部品を外すとシートまで垂れてしまう恐れがある場合はタッカーを打って暫定対策を行います。あくまでも天井を車外に取り出すまでの対策です。これを行う事により部品の取り外し作業時垂れて来た生地を頭からかぶってしまう等の問題を回避できます。

・劣化ウレタンのこぼれ状況確認
剥がれて垂れて来た天井生地の隙間から劣化ウレタンがポロポロこぼれて、シートやフロアに飛散していた場合、そのまま作業を進めてしまうと繊維の隙間にベトベトな劣化ウレタンを刷り込んでしまい、後のクリーニングが大変になります。まだこぼれて表面にいるうちに除去するのが吉です。

・メーターのアラート表示確認
エンジン起動時表示されるアラートの有無を確認します。当店ではアラートの解除は出来ませんが、施工後点灯したアラートが施工前からついていたアラートかを区別する為です。

・車内の傷確認
車内内装の内張りやガラスのフィルムに傷が無いか確認します。後部座席側の細かいフィルムの傷はオーナー様でもなかなか気づいていらっしゃらない場合も多いため、確認が必要です。

ポルシェケイマン天井垂れ・剥がれ・浮き張替え修理

■ 部品の取り外し

さてと、一人寂しく部品を取り外して行きましょう。一人でやると助手席側で作業して、運転席に回って作業して、、、結構出入りが激しくなります。部品を全て外し、天井が落ちて来た後も大忙し。
シートポジションを変えて、天井に布をかぶせて、左から少し引っ張ったら右に回って角度を変えて。。。
天井にダメージを与えないように何度も車の周りをぐるぐる。せめてもう一人いてくれると助かります。

ポルシェケイマン天井垂れ・剥がれ・浮き張替え修理

■ クリーニング

天井の車外取り出しが成功したら次はクリーニング作業となります。地味な作業ではありますが一番重要な工程です。他のお仕事でも派手な部分よりもその前段階の調査や資料作りをしっかりやる事が、成功につながると思いますがそれと一緒ですね。
当店では以下の3段階でのクリーニングを行っております。

【第一段階】
金属ブラシを使用して劣化ウレタンを除去していきます。裏面と表面を行います。

【第二段階】
アルコール系溶剤で残った劣化ウレタンのベトベト成分を溶かしていきます。マイクロファイバーウエスを使用して手でふき取っていきますのでゴム手袋をはめての作業となります。

【第三段階】
マップランプユニットやアシストグリップ等、へこみ部分はさらに強い溶剤で純正で使われている接着剤も溶かし除去します。この部分は天井の素材を出してしまいます。

ポルシェケイマン天井垂れ・剥がれ・浮き張替え修理

裏面のクリーニングが終わったら天井をひっくり返して表面のクリーニングです。

ポルシェケイマン天井垂れ・剥がれ・浮き張替え修理

向こうに写っているフォルクスワーゲンティグアンは、息子のお客様のお車で、あちらはあちらで天井張替えをやっています。あちらは3人で施工しているので、「いいな~」と思いながら地味なクリーニング作業を頑張りました。
今回は張直しなので、純正のアルカンタラの裏面もクリーニングしていかなければなりません。

■ 接着剤塗布

ようやくクリーニング作業を終え、ライナー表面とアルカンタラの裏面に接着剤を塗布していきます。

当店では天井張替えに2種類の接着剤を使用し、塗布方法も刷毛塗りとスプレー塗布の2種類で行っております。まずA接着剤を刷毛で重要部分に塗布ししっかり乾燥させます。乾燥後B接着剤を専用スプレーを使用して先ほどのA接着剤を塗布した部分を含めて全体に吹き付けていきます。もちろん貼り付ける生地の裏面にも吹き付けていきます。
また当店で使用している接着剤はF★★★★(エフフォースター)ランクの接着剤です。F★★★★とは建材や塗料から放出されるホルムアルデヒドの量を示す等級の最上位ランクで、JIS(日本工業規格)やJAS(日本農林規格)によって認定されています。★の数が多いほど安全性が高く、F★★(ツースター)、F★★★(スリースター)、F★★★★(フォースター)の順で等級が上がります。
最上位ランクのものを使用してはいますが、それでも完全乾燥までに3~4週間かかりますので、若干の溶剤臭が車内に漂う事があります。溶剤系の臭気に敏感なお客様もいらっしゃると思いますので、施工後は換気を多めにお乗りくださいます様お願い申し上げます。

ポルシェケイマン天井垂れ・剥がれ・浮き張替え修理

■ 張直し

そしてここからは楽しい張直し工程。この張直し工程はスキルの差が出る作業です。生地およびボードと対話しながら、穴の位置を合わせ、全体的な生地の位置情報を常に頭に入れての作業となります。この全体的な生地の位置情報を認識できない職人の場合、微妙なずれや過度なテンションにつながってしまいます。

とはいえ悠長に作業を楽しんでいるわけにも行きません。
当店で使用している接着剤には開放推積時間と可使時間というものがございます。開放推積時間とは接着剤を塗布してから貼り付けるまでの時間の事で、ある程度乾燥させてから貼り付けるタイプの接着剤となります。また可使時間とは開放推積時間が終了してから張り付かないくらい乾燥してしまうまでの時間となります。
我々職人はこの可使時間内に作業を終了させないと密着不良を発生させてしまいますので、ある意味時間との勝負となります。またこの可使時間は同じ接着剤同じ塗布方法でも夏場と冬場でその長さが違ってきます。特に冬場は可使時間が短く乾燥が早いため、天井の種類によってはあらかじめ後から接着剤を追加で吹く事を前提とした貼り付け手順で進める事もございます。

■ 張直し完成

穴も際もシワもテンションも完璧に仕上げられました。
楽しい時間は過ぎるのも早いもの。この後は完成した天井をお車に入れ、お車から出たり入ったり、ぐるぐる回ったりを繰り返して仕上げていかなければです。

ポルシェケイマン天井垂れ・剥がれ・浮き張替え修理

完成した天井にクロスをかけて、、、入れていきましょう!

ポルシェケイマン天井垂れ・剥がれ・浮き張替え修理

■ 完成

2人で組み付ける倍以上の時間がかかりましたが、ようやく完成しました。元通りです。

ポルシェケイマン天井垂れ・剥がれ・浮き張替え修理

■ 施工後記

今回は長野県という遠方からわざわざ積載車でお越し頂いてのご依頼となり誠にありがとうございました。完成後さらに納車という次のお仕事もあると伺っていたので、昼食をジャンプし頑張りました。
ポルシェケイマンは施工し慣れたお車ではありますが、張直しを一人で脱着からやったことは無かったので、やはり天井張替え作業は二人以上が効率的だと実感した施工でした。
また他のお車でもお付き合いできたらと思いますので、遠方ではありますが引き続きよろしくお願い致します。

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