ポルシェケイマン981をはじめ、殆どの欧米車の天井は7年~15年で天井に使用されているクロスが剥がれ・垂れ・浮きの症状に見舞われます。
このページでは、ポルシェケイマン981の天井が剥がれる原因、DIYによる応急処置、専門業者で張替え、ディーラー修理の費用目安、実際の施工工程まで、天井張替え職人の視点から詳しく解説します。
また後半ではディーラー様に出張施工した様子を紹介させて頂きます。
1 天井剥がれ・垂れ・浮きの原因
原因は天井の裏面に溶着されているウレタンスポンジの加水分解によるものです。加水分解とはその字のごとく、水分子が反応物や化合物の結合部位に入り込むことにより反応物の結合を切る(分解する)化学反応の事で、熱が加わることにより反応速度が速まります。
自動車の天井の場合、6月の梅雨時に天井材であるウレタンが湿気を含み、7月・8月の暑さで化学反応が促進されます。それを何年も繰り返すうちに天井生地を維持することが出来なくなり垂れ・剥がれ・浮きが発生します。同じ車種・型式でも自動車の保管状況により反応速度が変わります。
当店が過去施工したお車で一番加水分解が早かったお車はアウディA4で、天井製造日より7年でした。
2 天井剥がれ・垂れ・浮きの対策
予算・工期・仕上り品質によっていくつかの対策がありますので、順に説明致します。オーナー様のご予算やこだわりに合わせてその対策を選択されるのがベストです。
① 低予算(1000円以下)ピン留め
ディーラーや専門業者に施工を依頼するのではなく、ご自分で修理する方法です。ホームセンターで虫ピンや待ち針そしてタッカーを購入し、天井の剥がれ・垂れ・浮きの部位に刺して留めます。虫ピンは釘のコーナーで販売されていることが多いです。純正のような見栄えにはなりませんが、綺麗に整列させて刺すとかなり綺麗に仕上がります。これは業者に依頼するまでの応急処置としても有効な手段です。施工時間は施工範囲により幅がありますが、10分~1時間程度。
※注:低予算で済ませる為、剥がれ・垂れ・浮きが発生した生地の裏面にスプレータイプの接着剤を吹き込んで接着する方法は絶対にやめて下さい。必ず綺麗には接着できず表面に接着剤が染み出してきます。また将来的に専門業者に張替えを依頼する際、接着剤が入っていると追加料金を請求される場合がございます。
② 中程度予算(7~12万円)天井張替え専門業者に直接修理依頼
当店のような天井張替え専門業者をネット等で見つけ、その業者に天井修理を依頼する方法です。ディーラーに依頼するより低予算・短工期(当店の場合は当日仕上げ)で済む一方、以下のようなデメリットがございます。
・ その業者の技術力をネットの情報だけでは確かめられない
・ 純正と全く同じ天井生地での張替えにはならない
・ アフターサービスの手厚さがわからない。
・ 支払いにキャッシュレス決済未対応の業者もある
ちなみに当店でポルシェケイマン981の天井張替えを施工した場合、施工時間は4~5時間(当日仕上げ)となります。
③ 高程度予算(15~25万円)ディーラーに修理依頼
正規ディーラーに天井修理を依頼する方法です。メリットとデメリットは以下の通りです。
【メリット】
・ ネット等で天井張替え専門業者を探す手間が無い
・ メーカーの方でまだ天井の供給が続いていれば純正天井と交換できる
・ メーカーの供給が終了していた場合、ディーラーは当店のような専門業者に張替えを依頼しますが、
その仕上がり品質は専門業者ではなく、ディーラーが責任を持ってくれる
【デメリット】
・ 新品交換でも張替えでも施工金額が高価になる
・ 天井張替え業者に直接依頼するよりも工期がかかる(1週間~2週間)
3. ポルシェケイマン981天井修理施工費用 重要
① 当店を含む天井張り替え専門業者の場合
施工費用は年式、型式、応急処置方法・使用する生地等により変動致しますので、あくまで参考金額としてお考え下さい。
また当店ではお客様が作業に助手として参加する「助手割引」というサービスがあり、助手割引サービスをご活用頂けると、以下の金額より10,000円の割引をさせて頂いております。ご予約の際お申し付け下さい。
【①施工金額 お車お持ち込みの場合】(概算)
・ 施工工賃・・・60,000円
・ 張替え用生地代・・・12,000円(1.5m計算)
・ 助手割引サービス・・・-10,000円
・ 合計金額・・・62,000円(税込)
【②施工金額 天井のみお持ち込みの場合】(概算)当店最安値
・ 施工工賃・・・35,000円
・ 張替え用生地代・・・12,000円(1.5m計算)
・ 助手割引サービス・・・-5,000円
・ 合計金額・・・42,000円(税込)
ポルシェケイマン981のより正確なお見積りは以下よりお問い合わせください。
② ディーラーの場合
年式・型式・仕様・部品価格・工賃・依頼先等により金額は異なります。あくまで一般的な費用目安です
■ 新品天井材が入手できる場合・・・150,000~250,000円
■ 新品天井材が入手できない場合・・・上記専門業者に依頼する為、専門業者価格にディーラーマージンが上乗せされる金額になります。
以上、天井剥がれ・垂れ・浮きでお悩みのオーナー様の少しでも参考になれば幸いです。
4. ポルシェケイマン981天井張り替え施工の紹介
ここからは実際のポルシェケイマン981の施工を紹介させて頂きます。今回は神奈川県のディーラー様からのご依頼で、当店では珍しい出張での施工となりました。
■ 施工前チェック
施工に入る前に毎回施工前チェックを行います。助手割引の場合はお客様と一緒に、お客様がいらっしゃらない場合はケースバイケースで撮影を行います。作業に入る前にチェックを行う事で施工後の問題点の切り分けが出来、お客様も当店もスッキリ作業を終わることが出来ます。主なチェック項目と対応は以下の通りです。
・室内灯の点灯確認
特にサンバイザーのバニティーランプはあまり使われないお客様もいて、点灯するかどうかわからないという場合もございます。また長く使用していない場合接点に酸化被膜が溜まり、問題が無くても点灯しない場合もございます。いずれにしても点灯しなかった場合、何度か開閉を行い酸化被膜をワイピングにより除去し、それでも点灯しなかった場合は天井を車外に出した後、ランプが切れていないか、断線が無いかの確認を行います。
・天井生地の垂れ具合確認
天井生地が大きく垂れて部品を外すとシートまで垂れてしまう恐れがある場合はタッカーを打って暫定対策を行います。あくまでも天井を車外に取り出すまでの対策です。これを行う事により部品の取り外し作業時垂れて来た生地を頭からかぶってしまう等の問題を回避できます。
・劣化ウレタンのこぼれ状況確認
剥がれて垂れて来た天井生地の隙間から劣化ウレタンがポロポロこぼれて、シートやフロアに飛散していた場合、そのまま作業を進めてしまうと繊維の隙間にベトベトな劣化ウレタンを刷り込んでしまい、後のクリーニングが大変になります。まだこぼれて表面にいるうちに除去するのが吉です。
・メーターのアラート表示確認
エンジン起動時表示されるアラートの有無を確認します。当店ではアラートの解除は出来ませんが、施工後点灯したアラートが施工前からついていたアラートかを区別する為です。
・車内の傷確認
車内内装の内張りやガラスのフィルムに傷が無いか確認します。後部座席側の細かいフィルムの傷はオーナー様でもなかなか気づいていらっしゃらない場合も多いため、確認が必要です。

■ 内装部品の取り外し
施工前チェックが終わったらいよいよ内装部品を取り外して行きます。今回は出張での作業の為、助手はお客様ではなく当店のスタッフと2名での作業となりました。
■ クリーニング
天井の車外取り出しが成功したら次はクリーニング作業となります。地味な作業ではありますが一番重要な工程です。他のお仕事でも派手な部分よりもその前段階の調査や資料作りをしっかりやる事が、成功につながると思いますがそれと一緒ですね。
当店では以下の3段階でのクリーニングを行っております。
【第一段階】
金属ブラシを使用して劣化ウレタンを除去していきます。裏面と表面を行います。
【第二段階】
アルコール系溶剤で残った劣化ウレタンのベトベト成分を溶かしていきます。マイクロファイバーウエスを使用して手でふき取っていきますのでゴム手袋をはめての作業となります。
【第三段階】
マップランプユニットやアシストグリップ等、へこみ部分はさらに強い溶剤で純正で使われている接着剤も溶かし除去します。この部分は天井の素材を出してしまいます。

■ 接着剤塗布
当店では天井張替えに2種類の接着剤を使用し、塗布方法も刷毛塗りとスプレー塗布の2種類で行っております。まずA接着剤を刷毛で重要部分に塗布ししっかり乾燥させます。乾燥後B接着剤を専用スプレーを使用して先ほどのA接着剤を塗布した部分を含めて全体に吹き付けていきます。もちろん貼り付ける生地の裏面にも吹き付けていきます。
また当店で使用している接着剤はF★★★★(エフフォースター)ランクの接着剤です。
最上位ランクの接着剤を使用してはいますが、それでも完全乾燥までに3~4週間かかりますので、若干の溶剤臭が車内に漂う事があります。溶剤系の臭気に敏感なお客様もいらっしゃると思いますので、施工後は換気を多めにお乗りくださいます様お願い申し上げます。
天候・湿度により、今回の様にドライヤーでの初期乾燥を行う場合もございます。湿度何パーセントだったら何分ドライヤーをあてる等の細かいマニュアルはありませんが、塗布量・乾燥時の色・手触りで初期乾燥状態を決定します。この辺りは経験がものを言う部分です。


■ 生地の貼り付け
当店で使用している接着剤には開放推積時間と可使時間というものがございます。開放推積時間とは接着剤を塗布してから貼り付けるまでの時間の事で、ある程度乾燥させてから貼り付けるタイプの接着剤となります。また可使時間とは開放推積時間が終了してから張り付かないくらい乾燥してしまうまでの時間となります。
我々職人はこの可使時間内に作業を終了させないと密着不良を発生させてしまいますので、ある意味時間との勝負となります。またこの可使時間は同じ接着剤同じ塗布方法でも夏場と冬場でその長さが違ってきます。特に冬場は可使時間が短く乾燥が早いため、天井の種類によってはあらかじめ後から接着剤を追加で吹く事を前提とした貼り付け手順で進める事もございます。

■ 素材の保安基準に関して
天井張替えを行った場合、意外と見落としがちなのが張り替える生地の自動車難燃性保安基準に関してです。
自動車の内装材(シート・天井・ドアの内張り)や車内用品等は、自動車火災時の安全性確保のため、燃えにくい(難燃)素材であることが道路運送車両の保安基準で義務付けられています。
今回の施工の場合、明らかに純正と違う素材を使用している為、保証書を車検証と一緒に保管しておく事が安全です。詳しくは以下のリンクからご確認下さい。
■ トリミング・折り返し・穴あけ
さて、純正の天井は必要最低限の箇所しか折り返されておりませんが、当店では可能な限り全周折り返す方針で施工しています。折り返すことで際の綺麗さおよび耐久性が向上するからです。しかし上手く折り返さないと厚みが出て最終的に内装パーツを組付けた際、その厚み分上手くパーツが組み付きません。よって、折り返し部分が重ならないことが必須となって来ます。そのためには折り返した際折り返し部分が重ならないようなカットが重要です。
■ 部品組付け
最終工程。張り替えた天井を車内に入れて外した部品を一つずつ組みつけて行きます。「外した部品だからつけられるだろう」と思われがちですが、実は組み付ける方が難しいのです。取り外すときはクリップやネジの位置を意識せず外せばよいのですが、組み付けるときはクリップの穴位置に合わせたり、ねじの位置を合わせたりと、外す際には気にもしていなかった気を使いながらの作業となりますので、取り外しの時より時間がかかります。
■ 完成
今回はディーラー様の展示車の施工でしたが、この辺りはディーラー様によって考え方が違うところです。
一つは今回のご依頼の様に、展示車をお客様が見学に来た際車内を綺麗にしておくことでお客様の販売意欲を創出するという考え方。
もう一つは、垂れた天井のまま展示し、お客様の反応を伺いつつ天井だけ修理すればご契約頂けるという段になって初めて天井を張り替えるという考え方。
どちらが正しくてどちらが間違っているというものでもないですが、前者の方が当店の売り上げはアップしますね。

■ 施工後記
今回は神奈川県のディーラー様よりご依頼頂きました、ポルシェケイマン981の天井張替えを紹介させて頂きました。出張での施工となり、今回は天気が良かったため屋外での施工となりました。
今後ともお車の事でお困りのことがございましたら、当店で対応可能・不可能に問わず、お気軽にご相談頂けると幸いです。
この度はご依頼誠にありがとうございました。
5. その他のポルシェケイマンの施工事例
- ポルシェケイマン981天井張替え│東京都世田谷区
- ポルシェケイマン981天井張替え│東京都青梅市
- ポルシェケイマン981天井張替え修理(剥がれ・垂れ)│東京都調布市
- ポルシェケイマン天井・ピラー・ドア内張張替え│神奈川県横浜市
- ポルシェケイマン天井張替え修理(剥がれ・垂れ)│東京都港区
- ポルシェケイマン天井張替え修理(剥がれ・垂れ)修理│茨城県
- ポルシェケイマン981型天井張替え・修理│剥がれ・垂れ・浮きの原因と修理費用│神奈川県横浜市
- ポルシェ ケイマンの天井修理・張り直し|天井の垂れ・剥がれ・浮きを修理【長野県】
ケーワークス|自動車内装・天井張り替え
神奈川県川崎市・横浜市を中心に、自動車の天井張り替え、天井修理、内装リペアなどを行っています。
ポルシェ、BMW、メルセデス・ベンツ・アウディなど輸入車の天井修理についてもお気軽にご相談ください。